うつ病や不安障害に伴う不眠症
うつ病や不安障害は多くは環境の変化をきっかけに長期間にわたり憂うつな気分や精神的な不安・緊張が持続する状態です。内科的には、頭痛や胃腸障害を訴え、食欲が低下して体重が減少することがあります。さらに、多くの場合「早朝覚醒」による不眠が現れます。夜の寝付きは比較的良いのですが、真夜中に目が覚めてしまい、その後は布団の中でいろいろな考えごとをして再び眠ることができず朝が来てしまいます。このような不眠症では、うつ病や不安障害が改善すると不眠も軽くなるので専門家によるカウンセリングと抗うつ薬・抗不安薬により日中の憂うつ気分や不安・緊張を和らげるように治療することがポイントです。
また、はじめはうつ病でなくても不眠の状態が長期間続くと憂うつな気分になり昼間の生活にもその影響が出てくることがあります。不眠とうつ症状が強い場合には、不眠が原因で憂うつになっているのかうつ病が原因で不眠症を来たしているか判別できない場合があります。その時には症状の変化を注意深く観察しながら治療薬を症状に合わせて変えてゆきます。
身体疾患に伴う不眠症
むずむず脚(レストレスレッグ症候群)は夜寝床に入ると足に不愉快な感覚が現れてじっとしていられなくなる疾患で、その結果睡眠が妨げられます。リウマチ、感染症、悪性腫瘍などでは痛みにより睡眠の維持が困難になります。これらのケースでは不眠の原因となる不愉快な症状や痛みをコントロールすることで自然な眠りを取り戻すことができます。
また、一般に年齢が高くなるほど寝付くのに時間がかかり、夜中に目が覚める回数が増えて、睡眠時間が短くなってきますが、アルツハイマー病などの痴呆のある方ではそれがより顕著に現れてきます。特に、脳血管性痴呆のある場合は夜間にせん妄といわれる興奮状態が現れて本人だけでなく家族の生活にも影響を及ぼしてきます。このような時は本人の慣れ親しんだ環境を提供してあげることで興奮が収まり、自然な睡眠につけることがあります。
睡眠時無呼吸症候群は肥満などの影響で上気道が狭くなり睡眠中に上気道が閉塞し口と鼻の呼吸が止まってしまう疾患で、睡眠が何度も中断されるので熟眠できず昼間に眠気を催してきます。横向きに寝ることで睡眠中の上気道の閉塞を防げる場合もあります。
原発性不眠症
日常生活で誰にでも起きるような出来事やストレスから不眠が始まり、そのような出来事が去った後でも不眠だけが持続する状態です。夜寝床に入って眠ろうとすると目が冴えてしまって寝つくことができず、昼寝を試みても眠ることができにくくなります。一方、テレビを観ている時や会議中などには居眠りをしてしまい、旅先や検査室など非日常的な状況下では普段よりよく眠れます。原発性不眠症のメカニズムは、神経質な人では日常的なストレスが去った後でも不眠への過度のとらわれが残り、それが日中の緊張を高め、また、夜間の眠ろうとする努力が入眠を妨げ、さらに自宅の寝室・寝床・就寝前の身繕いが緊張を高め、これが不眠の条件刺激となり寝床に入ると目が冴えてくる学習過程が形成されて、慢性の不眠に陥ると考えられています。不眠の結果、昼間の生活にも悪影響がみられ、意欲の低下、注意・集中力の低下、疲労感などを自覚するようになります。 |