うつ病
これは悲しみや失望が長く続き、喜びや楽しみが無い精神状態です。きちんと考え事をしたり、集中したり、思い出したりするのが困難になるので、認知症と間違えられます。退職して生活環境が変わったり、伴侶を亡くしたりした後に発病するケースが多く見られます。
せん妄
意識が混濁して精神が混乱し意味不明な事を話す状態です。認知症と比べると、せん妄は突然発病するのが特徴です。せん妄は高齢者で肺や心臓疾患を持つ者、長期の感染症、低栄養状態、内分泌疾患、薬の副作用などで起こります。
甲状腺機能低下症
慢性甲状腺炎などにより甲状腺ホルモンの分泌が低下した状態が続くと、徐々に物忘れがひどくなったり、認知機能が低下したり、人格が変化したりしてきます。この病気は血液検査で調べることができ、甲状腺ホルモンの補充療法により回復します。
うつ病とせん妄は、認知症の患者さんに合併して症状がいっそうひどくなることがあります。その場合でも、うつ病とせん妄の部分については治療により回復することを忘れないで下さい。

認知症をきたす代表的な病気には以下のものがあります。
アルツハイマー病
認知症の原因として最もよくみられ、60歳以上の高年齢者に発病します。アルツハイマー病は脳の神経細胞がゆっくりと減っていく病気で、徐々に知的な能力、記憶力、学習や会話の能力が衰え、やがて人格が変化し判断ができなくなっていきます。
血管性認知症
多発性脳梗塞により認知症が現れるものです。知的な能力は、繰り返される脳梗塞の発作の度に進行するのが特徴です。通常、手足の麻痺、言語障害、視野障害など脳梗塞による身体の障害がみられます。
レビー小体型認知症
認知症に加えて、手足の振るえ、こわばり、動作が遅いなどのパーキンソン症状がみられる病気です。しばしば幻覚が見えることを訴えます。脳の神経細胞にレビー小体と呼ばれる異常なタンパク質が沈着することからこの名前が付いています。
前側頭葉型認知症
異常な行動や人格の変化が目立ちます。記憶力の低下も現れてきます。ピック病と診断される認知症はこの中に含まれます。大脳の前頭葉と側頭葉に限局した脳萎縮がみられることからこの名前があります。

もし御家族がアルツハイマー病と診断されたならば、次の3つのことを忘れないでください。
1.情報源を見つける
地域で必要な情報が得られる場所を知っておきましょう。専門の医師、看護師、ケアマネージャー、ケースワーカー、患者家族会、老人ホームや老健施設などを確認しておきましょう。
2.支援を求める
自分達だけで全ての問題を解決しようとして、かえって対策が遅れたり、患者さんや介護者が心身ともに憔悴して新たな病気になってしまうケースがあります。他の家族や友達に手伝ってもらったり、専門家からアドバイスをもらったり、周囲へ支援を求めましょう。他人の介護をする人は、まず自分が健康でなければなりません。
3.前向きに生きる
アルツハイマー病はあなたと家族の生活を大きく変えてしまいます。しかし、それでも良いことや悪いこと、楽しいことやおかしなことなど人生の様々な瞬間が続いてゆきます。これまでやっていたことはしばらく置いておいて、別のことを考えてみましょう。例えば、毎朝一杯のコーヒーをじっくりと楽しんだり、好きな映画を観たりして、ゆとりのある人生を送ってください。

現在世界中でアルツハイマー病の治療法が研究されていますが、今のところ病気の進行を止める治療法は見つかっていません。したがって、現在の治療は認知症の症状を緩和し異常な行動を抑えて患者さんの生活の質を改善することに焦点を当てています。具体的には、記憶力の低下を改善させること、不安や焦燥感を鎮めること、昼間は起きて過ごし夜間は良く眠れるようにすることなどを行います。また、アルツハイマー病の治療は薬物とケアを組み合わせて行いますが、軽症の場合と中等症から重症の場合とでは治療内容が異なります。 |